マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

この中の「マイノリティ・リポート」と「追憶売ります」を読了。
どちらも原作から大幅に脚色された映画がある(前者はスピルバーグ監督。トム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」、後者はバーホーベン監督、シュワルツェネッガー主演の「トータル・リコール」)
感想としては、「マイノリティ・リポート」は映画よりも原作のほうが断然上。ディックの短編はほとんど読んだことがないけど、この作品はディックの短編の中でもかなりの傑作といえるのではないかと思った。
映画のほうはよく覚えていないけれど、トム・クルーズが罠にはめられるという結構単純な話だったと記憶がある。けれど原作のほうは人間が人知を駆使しても逃れられない運命を描いたものだということが言え、その点でギリシャ悲劇のような作品だと思った。
「追憶売ります」のほうは原作のほうが面白いですね。ディック的というよりも星新一的といった方がよい、皮肉っぽい作品だけど、「マイノリティ・リポート」に比べれば深みのない、どんでん返しだけが重要な作品なので、話が四転五転する映画のほうが単純に楽しめます。