二 語用論的普遍態

  • 1・2 発話状況の一般構造に関係する部類の語彙
    • (一)人称代名詞 
    • (二)談話を開始したり、語りかけたりするために使われる言葉と言いまわし ex.呼格、警護
      • (一)(二)は話し手/聞き手と対話への潜在的な参加者に関係づけられている
    • (三)指示的表現、指示代名詞、冠詞、数詞
      • 発言の時刻に関係づけられている
    • (四)遂行的動詞 ex.疑問形、命令形、間接話法
      • 発言そのものに関係づけられている
    • (五)行為遂行的には使われない志向的動詞、若干の様相を表わす副詞
      • 話者の志向、態度、自己表現に関係づけられている
  • 3 われわれが発言において文を使用することができるのは
    • 間主観性のレヴェル(人物がそこで対話関係に入り、これによって言語能力と行為能力のある主体として登場することのできる)と
    • ②対象のレヴェル(実在するものが可能な言明の対象としてそこで描き出されうる)に限られる。また語用論的普遍態は対話を構成する普遍態だと言うこともできる
  • こうした普遍態に準拠しない限り、可能な談話の状況をつくり出している繰り返し現われる成分を定義することは全くできない。
  • 5 ①コミュニケーション型:言う、発言する、しゃべる
  • 6 ②-a事実確認型(主張的):記述する、報告する、伝達する
  • 7・8 ②-b事実確認型(真理要求の語用論的意味):断言する、請け合う、肯定する
  • 9 ③表示型:知る、考える、明らかにする、打ち明ける
  • 10 ④規制型:命令する、要請する、頼む
  • 11 ⑤制度的発話行為:あいさつする、おめでとうを言う、感謝する
  • 12 発話行為=制度を前提する、発話行為に従属している⇔普遍態(対話を構成する)=発話状況の一般構造を初めてつくり出す 
  • 13 発話行為は三つの基本的な区別を行うのに使われる
    • ①存在と仮象:事実確認型を使うことによって公共的世界(間主観的に承認された見解からなる)と私的な世界(単なるおもいこみからなる)との区別が可能となる
    • ②本質と現象:表示型を使うことによって完全に個体化された本質と言語的発言・自己表出・行為との区別が可能になる
    • ③存在と当為:規制型を使うことによって観察され得る経験的規則性と志向的に遵守されたり違反されたりするような妥当する規則との区別が可能になる
  • 最後に
    • 上の三つの区別が一緒になると「真の」合意と「偽の」合意という主要な区別が可能になる